醜い嫉妬心
彼女と友人らとを交えて遊びに行った。
とても楽しいが、彼女の一挙一動を目で追ってしまう。
この不安と嫉妬の感情は必要ないとわかっているんだけど、心が安定しない。
こういった不安定な感情はいわゆる初期症状の一つだろうな。
もうちょっと落ち着いてゆったりとした感覚で付き合って行きたいのだけど。
バーベキュー
職場の人達と河原でバーベキュー。
皆には彼女と付き合っている事を秘密にしている。
職場……とくにゴシップと下ネタが大好きな上司にバレるのはどうしても避けたい。
2台の車で行ったのだけど、図らずも同じ車の後部座席に2人で座らされる。
なんか会話の節々でも微妙に気を使われている気がする。
もしかして気づいているんだろうか。
疑心暗鬼なだけだろうか。
バーベキューはすばらしかった。
炭をおこして鉄板で焼き肉。
スモークチップでチーズと笹かまの薫製。
ガスコンロとダッチオーブンでスープ。
それとチョコレートフォンデュ。
先輩すごい。
どれも美味しい。
彼女は特にチョコレートフォンデュに感激していた。
用意したバナナとキウイどちらともびっくりするくらいに美味しい。
クラッカーも美味しいし、焼いたマシュマロをチョコに浸しては騒ぎながら食べていた。
ここまでいろいろ揃ったバーベキューは初めて。
「どうだ?惚れちゃってもいいんだぜ?」と先輩。
「確かにこれは……危うく惚れそうになりますね」と彼女。
「『危うく』ってなんだよ」と先輩が笑う。
フォンデュ鍋を買うことにしよう。
扉を開くもの
「ああ、そうだ。これをあげる」と、わざとらしいさり気なさで彼女に封筒を渡した。
「え?なに?プレゼント?」と彼女はにこやかに封筒をうけとった。
「大したものじゃないよ。なんていうかただの自己満足で、ちょっと渡しておきたいだけなんだ」
「ん?なんだろ?」
そして中身を見た瞬間、彼女は体を折って笑いだした。
「ええ!?ちょっとー、これはー?」
大声を上げながら戸惑っている様子。
「僕の部屋の鍵だよ。持っててくれるとうれしいな。」
「いいの?」
「なんていうかさ、ただ単に『彼女に部屋の鍵を渡す』って遊びがしたいだけなんだよ。」と僕。
実のところ、鍵を渡すかどうかはちょっと悩んだ。
別に僕がいない時に、彼女が勝手に部屋に入ることは問題ない。
パソコンとか漫画とか本とか机の中身とかを見られることに心配はしていない。
心配しているのは、彼女がこういった特別扱いに眉をひそめること。
まだ付き合ってからの日が浅すぎるかもしれない。
「……こんなことされたのは初めて」と彼女は鍵を物珍しそうに眺めている。
「こういうの嫌だったらやめるけど?」
「いやいや。ウレシイデス」
とりあえず鍵は持っておいてもらえそう。
これで僕との生活への距離感覚がより近くならないかなー。
一緒の食事
ここ数日は夕飯を一緒に食べている。レストランよりは居酒屋に行くことが多く、昨日もそんな感じのお店。
いつになく彼女は杯を重ねた。甘いカクテルを3杯。
普段アルコールをまったくダメとする彼女にしては、飲み過ぎだ。まぶたがとろんとして、かわいらしい色気をまとっている。
夜がこのまま明けなければいいのに。